
概要
ファインセラミックスは、その硬さ、耐高温性、耐酸化性、耐薬品性に優れた特性を持っているため、今、あらゆるところから注目されています。このセラミックの薄膜を各種材料の表面に密着できたら、耐熱性、耐食性という素晴らしい特性を備えた製品を生み出すこともできます。これを可能にした新塗料が登場しました。その主体になるのが、UBEが開発した「チラノポリマー」です。これは、有機ケイ素化合物の一種で、各種の有機溶剤に溶けやすく、塗布や吹付けができ、加熱すると熱硬化するという特性を持っています。「チラノコート®」は、このポリマーを主成分に開発された塗料で、各種の用途へ適用されています。
塗膜性能(標準品)
試験項目 | 試験条件 | 結果 | |
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耐熱性 | 500°C加熱 | 500時間 | 異常なし |
熱衝撃(600°C↔室温) | 10サイクル以上 | 異常なし | |
耐薬品性 | 80°C温水浸漬 | 1,000時間 | 異常なし |
10%NaOH浸漬 | 1,000時間 | 異常なし | |
10%HCI浸漬 | 1,000時間 | 異常なし | |
3%食塩水浸漬 | 1,000時間 | 異常なし | |
キシレン浸漬 | 1,000時間 | 異常なし | |
防食性 | 塩水噴霧 | 500時間 | 異常なし |
60°C温水 | 3,000時間 | 異常なし | |
耐候性 | サンシャインウェザオメーター | 3,000時間 | 異常なし |
物性 | 鉛筆硬度 | 4H | |
デュポン衝撃 | (50%破壊エネルギー) | 14kg・cm | |
密着 | (2mmゴバン目残存率) | 100/100 | |
折り曲げ | (10mmΦ180度) | 100%OK |
- 諸試験はJIS K5400に準拠した。
- 試料1mm厚SUS304鋼板(100mm×100mm、#240サンドペーパー、研磨後アセトン脱脂)に40ミクロン厚塗装し、250°Cで10分焼付け。


主な用途
機能 | 対象用途 | |
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高温酸化の防止 |
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金属母材の防食 |
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非金属母材の防食 |
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その他 |
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種類
タイプ | 色調 | 比重 (g/cm3) |
特徴 | |
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標準 | (ST-100) | 灰 | 1.3 | 最高の耐熱性と耐食性を発揮する標準タイプです。 |
カラー | (CR-100) | 各色 | 約1.2 | 白、黒、黄、赤、緑、青など、ご指定の色調どおりに調整いたします。 |
ハード | (HD-100) | 茶 | 1.3 | 鉛筆硬度が7H以上と非常に高い表面硬度の塗膜を形成します。 |
電気絶縁 | (EI-100) | 白 | 1.3 | 標準タイプとほぼ同等の耐熱・耐食性をもち、電気絶縁性にも優れます。 |
溶融金属 | (MR-100) | うす灰 | 1.0 | アルミニウムなどの溶融金属による、金属・耐火物の腐食劣化を防止します。 |
プライマー | (PM-100) | 銀 | 1.2 | 500°C以上で普通鋼をご使用になるときは、プライマーの下塗りをおすすめします。 |
ワニス | (VN-100) | 透明 | 1.0 | 充填材を添加していないチラノコートです。 |
遠赤外線放射 | (UI-100) | 灰、黒 | 1.3 | 高効率の遠赤外線を放射しますので乾燥炉等に適用できます。 |
- 上記のタイプ以外にもご要望に応じたチラノコートRを調整いたしますので、お申し付けください。
用途例


性状
標準品
項目 | 単位 | チラノコート | 備考 | 荷姿 |
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外観 | - | ー液性 |
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溶剤 | - | キシレン | 第4類第2石油類 | |
不揮発分 | % | 67 | ||
密度 | g/cm3 | 1.2 | 23°C | |
粘度 | ポイズ | 1.0 | 二重円筒粘度計 23°C |
塗布・焼付方法
1)下地処理(塗装面の素地調整)
アセトン、トリクレンなどの有機溶剤による脱脂後、サンドプラスト等の下地処理を施して下さい。
2)塗料の攪はん
チラノコートは充填材が比較的沈降しやすいため、充分に振とう、攪はんし、均一な状態にして下さい。
3)塗装方法
ハケ、スプレー、ディッピングなど通常の塗料用アプリケータが使用できます。チラノコートの希釈が必要な場合には、キシレンを使用し、原則として下記の割合で希釈剤を添加して下さい。
ハケ塗りの場合 | 0~5%(重量比) |
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スプレー塗りの場合 | 0~10% |
ハケ塗り | ラッカーハケまたは寸胴ハケが便利です。 |
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スプレー塗り | ノズル口径が0.6~1.2mmΦ前後のものが好ましく、圧力が3kg/cm2で施工して下さい。 |
ディッピング | 攪はん装置、比重計などを備えた容器をご用意下さい。 |
アンダーコート、トップコートともに塗装回数は2回もしくは3回塗りが好ましく、乾燥時の塗膜の厚さは40±10ミクロンの範囲が適当です。
4)加熱硬化
塗装後、5分程度自然乾燥した後、少なくとも250°C以上の温度で10分程度加熱焼付して下さい。
5)注意事項
- 施工は60°C以下で行うことを原則とします。
- 雨天時の屋外あるいは湿度が高い時は塗装作業をしないで下さい。
- 塗装時および取扱い時には、吸入しないように換気に充分注意し、また、皮膚にふれないように保護具の使用をおすすめします。火気は絶対に避けてください。
- 急激な加熱は塗膜のフクレやピンホールを発生させる危険性があります。


お問い合わせ先
製品についてのお問い合わせ
- 宇部興産(株)
- 化学カンパニー ポリイミド・機能品事業部
機能品営業部 チラノ繊維グループ - TEL:03-5419-6188
- FAX:03-5419-6260
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