社会 健康経営

代表取締役社長の西田祐樹およびUBE労働組合委員長の河村和典それぞれの健康経営宣言文書。西田祐樹開始: UBEグループは、パーパス(存在意義)として「希望ある化学で、難題を打ち破る。」を掲げ、変革スローガン「未解決な未来に挑もう。」の掛け声のもと、持続的な成長に向けた挑戦を続けます。さらなる一歩を踏み出すためには、UBEグループに関わる一人ひとりが「大切にされている」と感じられることが重要です。UBEグループのメンバーとそのご家族が安心・安全・幸せを実感できるための健康投資を通じた健康経営、ウェルビーイング経営を推進し、働きがいのある、未来に向けて挑戦できる組織作りに取り組むことを宣言します。西田祐樹終了。河村和典開始: UBE労働組合では、「企業活動・組合活動の根幹は、安全と健康である」という認識のもと、組合員一人ひとりの責務として、安全と健康の取り組みに対して主体的かつ能動的な行動ができるような取り組みを進めています。健康については、組合員同士の「つながり」を意識しつつ、文体行事や各種セミナー、啓発活動を通じて、心身ともに健康で活気のある職場環境を目指していきます。労使で協力して健康経営を深化させていきましょう。河村和典終了。

指針・基本的な考え方

UBEグループ健康推進基本指針

UBEグループは、健康経営の推進により、従業員の健康の保持増進、および安心・安全・幸せを実感しながら働ける職場環境を実現します。

スコープ

UBEグループ(UBE株式会社および国内連結子会社)を対象とします。

ゴール

世代・役割・国籍・働き方等に関わらず、UBEグループに関わるすべての人が安心・安全・幸せを実感できるための健康投資および健康経営を行い、人的資本価値を最大化します。そのために以下を実践します。

  1. グループ労働衛生5管理(作業環境管理・作業管理・健康管理・労働衛生教育・総括管理)の体制を構築・運用し、UBEグループで働くすべての従業員へ安全と安心を提供します。
  2. UBEグループで働くすべての従業員の働き甲斐と幸福度(ウェルビーイング)を同時に満たすことで、労働生産性を最大限に引き出すことができる組織を作ります。

コミットメント

  • 2030年度までに、UBE単独のプレゼンティーイズム(WFun)の判定Aを取得。

責任部署・見直し

人事部健康推進センターが統括管理を行います。

本指針は、少なくとも毎年1回の定期見直しを実施します。期中に見直しが必要な場合は、グループ健康推進委員会で審議し、承認を得ます。

マネジメント体制

健康経営を推進していくための体制

  • UBEグループでは、健康推進に関する重要な基本方針および施策を経営の重点課題として、社長を委員長とした経営会議〔サステナビリティ委員会〕で審議・決定し、取締役会がそれを監督しています。
    経営会議〔サステナビリティ委員会〕の下部組織の専門委員会の1つであるグループ健康管理推進委員会において、健康経営および健康推進に関する基本的な方針、中長期的な計画ならびに年度毎の重点実施項目などを協議し、経営会議〔サステナビリティ委員会〕で審議・決定しています。
  • また、経営会議の議事内容をグループ全体に伝達し、効率的な運営を実現するために、3連絡会(グループ衛生管理者連絡会、グループ産業医連絡会、グループ産業保健看護職連絡会)を活用し、諸施策を推進しています。
  • 各事業所においては、UBEグループ独自の仕組みとして、統括衛生管理者制度を設けています。衛生管理者、産業医、産業保健看護職が連携し、各種データ分析に基づいて課題を抽出するとともに、安心・安全で快適な作業環境の維持管理や働きがいのある職場づくりを推進しています。
  • UBEは、健康保険組合と協同し、重症化予防および特定保健指導の充実、コラボヘルスとして健康施策への支援を実施しています。また、社外との連携として、大学等の研究機関との共同研究や、外部EAPの活用を積極的に行っています。
  • 外部EAP(Employee Assistance Program):社外の専門機関による、メンタル不調の社員や組織活性化に向けた支援
健康経営推進体制
健康経営推進体制

健康推進について継続的改善を図るため、PDCAサイクルに沿った活動を実施しています。

1年間の全社施策PDCAサイクル

目標と実績

重点課題

UBEでは、健康経営における重点課題として、プレゼンティーイズムを改善し、心身ともに健やかに生産性高く仕事に取り組める状態につなげることを目指します。「健康問題による労働生産性の低下度合」を測定するとともに、「仕事に最も影響している症状」を把握し、効果的な対策を実施してプレゼンティーイズムの改善を進めます。(取り組みについては、下記「取り組み」の「5. プレゼンティーイズム」をご覧ください)

指標 スコープ
(範囲)
2024年度 2025年度 2030年度
実績 目標 目標 目標
プレゼンティーイズム(WFun判定) UBE単独 B B B A
  • WFun:SOMPOヘルスサポート(株)提供のプレゼンティーイズム測定ツール

また、喫煙対策を重要な課題と位置づけ、喫煙率の目標値を設定して、国内連結グループ全体で取り組みを推進します。(取り組みについては、下記「取り組み」の「2. (2)喫煙対策」」をご覧ください)

指標 スコープ
(範囲)
2024年度 2027年度 2030年度
実績 目標 目標 目標
喫煙率 国内連結 22.3% 20% 以下 17% 以下 12% 以下

その他の指標と実績

また、健康経営戦略マップを定め、アブセンティーイズムの低減、プレゼンティーイズムの改善、ワークエンゲージメントの向上を目指して健康投資を行い、各種効果指標により効果を検証しています。

課題 項目 スコープ
(範囲)
2022年度
実績
2023年度
実績
2024年度
実績
2025年度
目標
健診結果を活用した脳・心疾患リスクの把握と有所見率の低減 定期健康診断受診率 UBE単独 100% 100% 100% 100%
精密検査受診率 UBE単独 99.4% 99.1% 98.6% 対前年度以上
UBE基準ハイリスク者比率 UBE単独 7.6% 8.4% 7.7% 対前年度以下
健診結果を活用した悪性新生物の早期発見、早期治療 がん検診項目二次検査受診率 UBE単独 99.0% 97.0% 95.7% 対前年度以上
ストレスチェック結果を活用した職場改善活動の推進 ストレスチェック受検率 UBE単独 93.5% 96.3% 96.5% 95%以上
総合健康リスク値120以上の部署(部署数) UBE単独 20職場 19職場 23職場 対前年度以下
ストレスチェック高ストレス者※1比率 UBE単独 11.5% 9.1% 10.5% 対前年度以下
長期休務・休職者の削減 新患発生率 UBE単独 0.72% 0.85% 0.48% 対前年度以下
メンタル強度率 UBE単独 0.60% 0.77% 0.90% 対前年度以下
復職率 UBE単独 36.7% 37.8% 35.5% 50%以上
受動喫煙ゼロ 喫煙率 UBE単独※3 19.6% 19.9% 21.2% 20%以下
国内連結 22.7% 23.0% 22.3%
その他健康指標(対象:健康診断受診者全年齢) 適正体重の比率 UBE単独 66.9% 66.9% 66.1% 対前年度以上
運動習慣ありの比率※2 UBE単独 37.9% 37.8% 33.5% 対前年度以上
  • ※1ストレスチェック高ストレス者比率:厚生労働省の「ストレスチェック指針(平成30年8月改訂)」に該当する高ストレス者の比率
  • ※2運動習慣ありの比率:1週間に2回以上、1回当たり30分以上の運動を実施している人の比率
  • ※3 喫煙率のUBE単独・国内連結: 対象となるグループ会社の増減、および国内連結グループ会社のUBEへの統合あり

健康経営戦略マップ

UBEの戦略マップ
  • 2025年度一部改定

取り組み

1. 健康経営の浸透と定着

健康経営の浸透と定着の取り組みとして、健康経営責任者である社長とUBE労働組合委員長が合同で「健康経営宣言」を発信し、全社員へ周知しています。健康経営宣言は、社内イントラのトップページに掲示し、社員がいつでも目にして健康経営の意識を高める環境を整えています。

また、「健康経営スローガン」の制定を行っています。UBEグループ全体でスローガンを募集し、優秀作品はUBEグループ安全衛生大会にて社長より表彰しています。 2025年度スローガンは「健康はあなたの財産 会社の資産 みんなで取り組む健康経営」が選ばれました。UBEグループ各事業所でポスターを掲示し、健康経営の浸透と定着を図っています。

(1)健康経営の認知度

UBEでは定期的に健康経営に関する認知度調査を実施し、浸透度を測っています。2024年度は98.6%となりました。

項目 2022年9月※1 2023年10月※2 2024年12月
回答率(UBE単独) 50.1% 64.7% 97.4%
健康経営に関する認知度(UBE単独) 97.7% 98.9% 98.6%
  • ※1社員の約半数が回答した結果
  • ※2社員の約65%が回答した結果

また、労働組合で実施している組合員対象の意識調査からも、事業所ごとの健康経営の浸透度合いや課題を抽出して、全社ならびに各事業所の安全衛生協議会において労使で協議を行っています。

(2)外部評価

UBEグループ全体で健康経営を推進した結果、経済産業省および日本健康会議主催の健康経営優良法人認定制度において、2024年度はUBEならびに国内連結子会社の計13社が優良法人に認定されました。うち宇部物流サービス(株)と(株)福島製作所がブライト500、(株)ティーユーエレクトロニクスと(株)宇部総合サービスが新設のネクストブライト1000に認定されました。

各社の良好事例は、グループ健康管理推進委員会や3連絡会(グループ衛生管理者連絡会、グループ産業医連絡会、グループ産業保健看護職連絡会)において横展開を行い、UBEグループ全体の健康経営のレベルアップに取り組んでいます。

  • 健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

2. からだの健康

(1)健康診断と保健指導

UBEでは、健康診断や、産業保健専門職による保健指導などを実施して、社員の健康管理の支援を行っています。

UBE統一項目による定期健康診断の受診率は、100%を継続しています。精密検査の受診勧奨も積極的に行っており、2024年度の受診率は98.6%となりました。また、各種がん検診など任意のオプション項目を拡充するとともに、乳がん・子宮頸がんなどの女性がん検診を社内で実施して受診しやすい環境を整えています。さらにUBE健康保険組合との連携事業として、任意のオプション項目への費用補助に加え、人間ドック・脳ドック・眼底検査・腎機能検査・肝炎ウイルス検査・骨密度測定・歯科検診などの費用補助も実施しています。

UBEで定めた脳・心疾患リスク基準に基づき、全社員の健康診断結果からリスクを抽出し、経年推移を確認しています。有所見者・ハイリスク者への保健指導を行うとともに、事業所ごとに課題を抽出し改善を進めています。UBE健康保険組合と健康スコアリングレポートを分析し、課題の共有と役割分担をしながら、保健事業や健康経営施策の計画に反映しています。

UBE健康保険組合から補助を行っている健診・検診・予防接種等(2025年度)
対象者 補助の内容
便潜血反応検査 35歳、および40歳以上の被保険者 全額費用補助
腹部超音波(エコー)検査 40、45、50、55、60歳の被保険者 全額費用補助
B型肝炎ウイルス検査 40、45、50、55、60歳の被保険者 全額費用補助
C型肝炎ウイルス検査 40、45、50、55、60歳の被保険者 全額費用補助
子宮頸がん検診 20歳以上の被保険者(2年に1回) 全額費用補助
乳がん検診(エコー) 30歳以上の被保険者(2年に1回) 全額費用補助
乳がん検診(マンモグラフィ) 40歳以上の被保険者(2年に1回) 全額費用補助
医療機関における腹部超音波(エコー)検査 55歳の被保険者 全額費用補助
医療機関における胃内視鏡検査 55歳の被保険者 全額費用補助
医療機関における大腸内視鏡検査 55歳の被保険者 全額費用補助
各種健診補助
(上記検診(全額費用補助対象でない場合)、腫瘍マーカー検査、ABC検査、人間ドック、脳ドック、眼底検査、腎機能検査、肝炎ウイルス検査、骨密度測定 など)
35歳以上の被保険者・被扶養者 40,000円/年を上限に費用補助
歯科検診補助 被保険者、被扶養者
(ただし、幼児・小学生・中学生・高校生を除く)
3,000円/円を上限に費用補助
インフルエンザ予防接種 被保険者、被扶養者 1人1回、2,000円/回を上限に費用補助、ただし、小学生以下で2回接種が必要な場合は2回

(2)喫煙対策

UBEグループでは、2022-2024年度の中期経営計画において国内連結の目標として「喫煙率20%以下」を掲げ、若年層向け喫煙防止教育などに取り組んできました。UBEでは、就業規則に就業時間中会社内において喫煙しないことを定め、UBE健康保険組合との連携事業としてオンライン禁煙外来プログラムを自己負担なしで提供してきましたが、結果としてUBE単独・国内連結とも未達成に終わりました。

組織として喫煙対策に取り組む必要性を改めて協議し、国内連結の喫煙率の目標を「2027年度 17%以下、2030年度 12%以下」と定めました。

またUBEにおいては、具体的な施策として、2025年10月より就業規則に「休憩時間(会社内)・外出中・出張中・テレワーク中も含めた就業時間内禁煙」を定め、あわせてUBE社員用喫煙所を廃止します。

3. こころの健康(メンタルヘルス)

UBEでは「新職業性ストレス簡易調査票80項目」を活用し、年1回のストレスチェック実施に加え、社員本人がイントラネットからいつでも受検可能な仕組みを提供し、セルフチェックできる環境を整えています。

集団分析結果を活用して課題を把握し、外部EAP※と連携した対話型ポジティブメンタルヘルスワークショップを実施しています。さらに、ストレスチェックにおける総合健康リスク値120以上の部署を把握して、産業保健専門職や外部EAPと協働しながら職場改善活動を推進しています。

  • 外部EAP(Employee Assistance Program):社外の専門機関による、メンタル不調の社員や組織活性化に向けた支援

また、階層別にメンタルヘルス研修を実施し、社員がそれぞれのキャリアステージで直面しやすい事例を通じてメンタルヘルスの理解を深めるとともに、外部EAPを含む相談窓口や、各職場でメンタルヘルス課題が発生した場合の専門職連携などを紹介しています。さらに、新入社員・キャリア採用者に対しては、入社後一定期間経過のタイミングで全員面談を実施し、しっかりとしたフォローアップを行っています。

対象 2024年度実績
メンタルヘルス階層別研修 UBE新入社員、キャリア採用者、管理職等 延べ207人
外部EAPへの相談利用 UBE社員および家族 月平均12.5件
メンタルヘルス情報 UBE国内連結グループ会社 年24回発信
イントラネット掲載
安全衛生委員会で紹介

4. アブセンティーイズム

UBEでは、私傷病による休務者の経年推移を把握するとともに、メンタル不調者については新患発生率・強度率・復職率等を管理しています。

課題を分析して未然防止に努めるとともに、UBEグループ全体で復職支援体制整備を推進しています。休務開始から職場復帰後のフォローアップまでの流れを明確化した「職場復帰支援の5ステップ」を定め、人事労務担当者や職制上司、産業医や産業保健看護職、外部EAPが連携し、各ステップにおいてそれぞれが理解しておくべき事項や職場復帰支援プランを確認しながら職場復帰を支援します。

また、両立支援を重点項目の1つとして継続的に取り組んでいます。2022年度に「両立支援ハンドブック」を作成して育児・介護・不妊治療・治療と仕事の両立支援制度を紹介し、制度利用者にわかりやすい情報を提供するとともに、管理職や周囲の理解促進も図っています。「治療と仕事の両立の相談窓口」をUBE全事業所に整備して両立支援コーディネーターを配置し、復職や両立を支援しています。介護と仕事の両立については、相談窓口の設置に加え、調査による実態やニーズの把握、40歳研修による制度の理解推進により、介護との両立がしやすい環境整備を進めます。

さらに、年次有給休暇とは別に、年5日の「ライフサポート休暇」を付与しています。私傷病・介護・看護・育児・つわり・不妊治療のほか、予防接種・がん検診・人間ドックなどの疾病予防、地域貢献・社会貢献活動、社員・家族の記念日・ライフイベントなど多様なニーズに使用できます。

5. プレゼンティーイズム

中期経営計画(2025-2027年度)の重点課題として、プレゼンティーイズムを改善し、心身ともに健やかに生産性高く仕事に取り組める状態につなげることを目指します。

プレゼンティーイズム(何らかの健康問題がありながら働いているために、労働生産性が低下している状態)を測定するツールとして、2022年度からWFun※1やK6※2を導入しています。2024年度の回答率は97%です。

「健康問題による労働生産性の低下度合」を測定するとともに、「仕事に最も影響している症状」を把握し、2022年度から2024年度の調査結果から「睡眠」「痛み」「眼」を課題として抽出し、継続的に対策を行って改善を図っています。

  • ※1WFun:健康問題による労働機能障害の程度を測定するための調査票
  • ※2K6:こころの健康状態を測定するための質問票
2023年度・2024年度・2025年度の取り組み(UBE単独、一部国内連結にも展開)
睡眠
  • 3分健康アドバイス「睡眠で休養、取れていますか?」
  • 外部講師による「睡眠セミナー」(UBE健康保険組合連携事業)
  • 睡眠時無呼吸症候群簡易検査(UBE健康保険組合連携事業)
痛み
  • 3分健康アドバイス「肩こり・腰痛対策」
  • 外部講師による社員参加型「肩こり・腰痛セミナー」(UBE健康保険組合連携事業)
  • 外部講師による各事業所キーパーソン向け「頭痛セミナー」
  • 3分健康アドバイス「眼の健康について」
  • eラーニング「目の健康管理」

6. ワークエンゲージメントとウェルビーイング

UBEでは「新職業性ストレス簡易調査票80項目」を活用し、個人ならびに職場のワークエンゲージメントの推移を継続的に把握しています。ストレスチェックの「健康いきいき判定サマリーレポート」の活用を推進し、組織の課題に応じた取り組みが行えるよう、各職場のリーダーに健康情報を発信しています。

  • 健康いきいき判定サマリーレポート:e診断@心の健康を活用したフィードバックシート
ワークエンゲージメントの年次推移
(新職業性ストレス簡易調査票80項目 Q79、Q80)
2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
Q79 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2
Q80 2.7 2.7 2.7 2.7 2.7
  • 採点方法:そうだ=4点、まあそうだ=3点、ややちがう=2点、ちがう=1点

また、2022年度にUBE労働組合員を対象に行った「幸福度調査」を、2024年度には管理職を含むUBE全社員に対象拡大して実施しました。結果を分析し、労使検討委員会で意見交換を行って、ワークエンゲージメントとウェルビーイング向上のための施策を推進していきます。

2022年度実績 2024年度実績
幸福度調査の対象 UBE労働組合員 管理職を含むUBE全社員
幸福度調査の回答率 72% 94%

7. ヘルスリテラシー向上とセルフケア・ラインケア

UBEでは、多様な健康課題への理解を推進する取り組みを行い、ヘルスリテラシーの向上を図っています。2024年度はUBE全社員向けeラーニングのテーマの1つに「男性と女性のホルモンから学ぶカラダと心の健康」を取り上げ、性差による健康課題や更年期症状、プレコンセプションケアなどの理解を深めました。

あわせて、一人ひとりが自律的に健康増進に取り組める豊富な施策メニューを提供しています。UBE健康保険組合と連携して、アプリを活用したウォーキングイベントやスポーツジム等の費用補助を行い、運動習慣の定着を図っています。2024年度下期より導入したスポーツジム等の継続的利用に対する費用補助は、UBE健康保険組合被保険者全体で131名の申請があり、総額786千円を支給しました。2025年度も施策を継続し、運動習慣定着を図ります。またセルフメディテーション推進事業として、薬剤師への相談も可能な市販薬購入サイトを導入し、購入費に使えるポイント補助を行っています。各事業所においては、社員食堂のリニューアルとヘルシーメニューの提供、リフレッシュルームや仮眠室の設置など、セルフケアに取り組みやすい環境を整備しています。

また、PHR(パーソナルヘルスレコード)の整備を進め、イントラネットの個人ポータルサイト「LifeMark」において、社員一人ひとりが過去の健診結果データや保健指導履歴を確認できます。ストレスチェックは、年1回の実施に加え、社員本人がイントラネットからいつでも受検可能であり、セルフチェックによる気づきを得ることが可能です。「LifeMark」「ストレスチェック」と同じページに「こころとからだの相談ボックス」を掲示して、必要に応じて相談しやすい環境を提供しています。

さらに、産業保健専門職・労働衛生スタッフと全管理職向けに「健康情報活用研修」を行い、適切な健康情報の取扱いや、各職場で求められる健康リスク管理の理解を促進しています。情報活用による職場の健康管理・就業管理を行える状況を作り、産業保健専門職と相談・連携しやすい体制を構築して、マネジメント支援を推進しています。

対象 2024年度実績
健康情報活用研修 UBE管理職(海外拠点長含む) 管理職の84%が受講
(目標値:80%以上の受講を維持)
再受講を含み毎年実施
健康推進eラーニング
「男性と女性のホルモンから学ぶカラダと心の健康」
UBE社員 受講率98.8%
健康推進eラーニング
「セルフケアで、花粉症をのりきろう」
UBE社員 受講率93.4%
健康推進eラーニング
「健康経営と化学物質の自律的管理」
UBE社員 受講率97.4%
健康アプリ(歩数、運動、食生活等) UBE社員、UBE健康保険組合被保険者、派遣社員 登録者数1,358人
ウォーキングイベント UBE社員、UBE健康保険組合被保険者、派遣社員、および一部事業所にて共同で健康増進を行っているグループ会社社員を含む 参加者数 延べ1,152人
運動セミナー UBE社員、UBE健康保険組合被保険者等 5事業所で実施
3分健康アドバイス UBE国内連結グループ会社の事業所 各事業所の安全衛生委員会にて教育
2024年度テーマ例
  • タバコの健康障害
  • 感染症対策の基本
  • 歯と口の健康
  • 食生活と栄養
  • 仕事と生活の両立支援 など

8. 長時間労働対策

UBEでは、長時間労働対策として、時間外労働45時間以上の社員にアンケートによる疲労蓄積度のチェックを実施し、80時間以上の社員には産業保健看護職による状況ヒアリングおよび産業医面接を行っています。労働時間以外の負荷度合も把握するため、本人のヒアリングや職場上司からの状況確認を行って、対策の必要性を協議し、過重労働による健康障害の防止に組織的に取り組んでいます。

また、全社で総実労働時間の削減の取り組みを進め、働きやすさだけでなく、成果・⽣産性の向上につなげる意識を共有する取り組みも行っています。

9. 業務起因性疾病リスク対策

UBEグループでは、化学物質等の有害因子が存在する環境下においても、安心・安全な作業環境で業務遂行できるよう体制整備を進めています。

UBEグループ全体で、業務起因性疾病リスクに関する情報共有・意見交換の場を毎月設定し、外部専門家の意見も聴取しながら、対策を実施しています。

併せて、外部講師による衛生管理者向け研修を行い、各職場において自律的管理を確実に行うためのレベルアップを図っています。2024年3月から12月に全5回実施し、アーカイブ受講を含めて延べ750人以上が受講しました。

さらに、2024年度から2025年度にかけて、化学物質を常時使用するUBEおよびUBE国内連結グループ会社を対象に、環境安全部と健康推進センター共同でリスクアセスメントやばく露低減対策等の状況を監査し、化学物質等の自律的管理を推進しています。

また、これまで活用してきた化学物質取り扱い業務従事者向け作業記録管理システムをベースに、2023年度・2024年度は厚生労働科学研究費による産業医科大学との共同研究を行い、機能の向上・拡充を進めました。2024年度は、保護具選定アシストツールやスマートフォン用入力支援アプリを開発しました。2025年度以降は、労働衛生3管理情報の統合と業務起因性疾病対策への活用を推進します。

10. グローバルヘルスへの対応

UBEグループはグローバルに事業展開していることから、法令の遵守はもとより、3大グローバルヘルス課題である、マラリア、エイズ、結核を含む感染症リスクに対応するため、海外派遣者(出張、赴任)の健康診断受診対象者を以下のように定めています。

  • (出国時健診)3か月以上の海外勤務を行う場合
  • (帰国時健診)6か月以上海外勤務したのち、国内の業務に就く場合

出国時健診において、産業医が本人の抱える健康リスクと必要なワクチンについての指導勧奨を行い、産業保健看護職が当該地域における生活環境や食環境を踏まえた衛生教育および保健指導を行っています。

OCM幹事会では出張者管理システム「アラートスター」を導入するとともに、定期的な情報発信、海外安全速報等のアラートを発出しています。

  • アラートスター:以下の2つを目的に、2018年4月から導入しています。
    ・テロや自然災害、パンデミック(感染病の大規模な流行)などの有事の際、OCM事務局・担当者が当該国への海外渡航者の現在地を一元的に把握、速やかに安否確認を行うことができる。
    ・出張者が現地での安全情報を入手できる。

なお、リモートワーク等による駐在員の心理的な孤立を防ぐため、Web環境を整備し、心理的な負担の程度を把握する目的で労働安全衛生法に基づき制度設計されたストレスチェック検診を常時受検できる環境を提供し、必要時には産業医によるWeb面談を行える体制を整え提供しています。

海外赴任中の従業員の健康管理に対しては当社独自の海外対応健診項目を設定するとともに、年間スケジュールを立て、健康診断(年1回)の未受診者に対し、受診勧奨を行っています。また、海外赴任中においては、業務および生活上のストレスが日本国内に滞在する場合より高くなることが予想されます。ストレスチェックは、法的には海外での実施義務はありませんが、会社として年1回、受検の機会を提供し、海外赴任者が自身のストレスを把握する指標として活用、メンタル疾患発症を予防するように努めています。

11. サプライチェーンや社会への取り組み

(1)サプライチェーンとの連携

健康経営の推進

UBEでは、協力会社や取引先のみなさまと連携した健康経営の取り組みを推進しています。

毎年7月に実施している「グループ安全衛生大会」には、協力会社からも参加いただき、UBEにおける安全や健康推進の施策内容・効果検証の方法を共有するとともに、外部講師の講演をともに受講して新たな知見の習得を推進しています。

また、UBEでは2025年10月より就業規則に「休憩時間(会社内)・外出中・出張中・テレワーク中も含めた就業時間内禁煙」を定め、あわせてUBE社員用喫煙所を廃止します。協力会社や取引先のみなさまにも方針を公表し、UBEにおける禁煙支援の内容やノウハウを共有するとともに、連携して取り組める施策を継続的に協議しています。

連携施策

プロサッカーチームのレノファ山口FCとのコラボによる「簡単3分オリジナルストレッチ動画」を作成しました。オフィスや立ち仕事で疲れが溜まりやすい肩腰、目の疲労回復に活用できる内容となっています。

また、「UBE冠マッチ」や「応援デー」を設定し、職場の仲間や家族とともに試合を観戦する機会を設けています。心身のリフレッシュやコミュニケーション促進の機会となっています。

(2)社会貢献

こころの健康を育む

「音楽を通じた地域文化振興への貢献」を目的に、日本フィルハーモニー交響楽団を宇部市に招聘し、UBEクラシックコンサートを開催。コンサート前には、地元の文化振興とこころの健康を育むことを目的に日本フィルハーモニー交響楽団と次世代を担う若者との橋渡しを行っています。

スポーツ振興を通した地域活性化への貢献

レノファ山口FCとオフィシャルパートナー契約を結び、未来へとつながる豊かな社会の実現を目指しています。

地域との連携・情報提供

地域の産業保健・医療との連携や、教育への支援を積極的に行っています。また、これまで当社で実施してきた健康推進活動について情報を発信しています。

  • 日本産業衛生学会発表
  • 雑誌等掲載(へるすあっぷ21、産業保健と看護、山口県たばこ対策ガイドライン)
  • 各種委員会での報告(山口県産業医会幹事会、山口県感染症健康危機管理兼山口県麻しん風しん対策協議会、ほか)
  • 学生、医師会支援
    山口大学、産業医科大学看護学生実習
    山口県医師会認定産業医研修、山口県労働基準協会が実施する教育・研修における講師
  • 取引先のみなさま(上記「サプライチェーン」参照)

ESG評価(人財)