ガバナンス コーポレート・ガバナンス

指針・基本的な考え方

コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方

当社及び子会社からなるUBEグループは、グループ全体の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを、その基本的使命としています。そのために当社は、監査等委員会設置会社として、監査権や意見陳述権を有する監査等委員である取締役が取締役会において議決権を保有する体制を整え、取締役会による業務執行の監督機能を強化するとともに、重要な業務執行の決定の一部を代表取締役社長に委任することで業務執行の迅速化を図るなど、実効的なコーポレートガバナンスを確立することにより、適正な事業活動を持続的に営み、株主をはじめ顧客、取引先、従業員、地域社会等の全てのステークホルダーに対する責務を果たし、その信認を得ることに努めています。

当社は、経営の効率化と透明性の向上、意思決定の迅速化、経営責任の明確化、そして経営監視機能の強化等、コーポレートガバナンスの充実に今後とも取り組んでいきます。

コーポレートガバナンスの体制

コーポレートガバナンスと内部統制の概要

コーポレートガバナンスと内部統制
  • ※1内部統制部門
    • コンプライアンス、安全保証輸出、情報セキュリティ、危機対応
    • 本社部門内部統制部署
  • ※2事業部門
    • 5事業部、研究開発本部、宇部事業所
  • ※3UMCグループ
    • UBEマシナリーグループ

役員一覧

取締役会

取締役会は、経営戦略上の重要な業務執行の状況と経営成績を監督しています。さらに、意思決定及び経営監視に独立した第三者の視点を加え経営の効率性・透明性・客観性を確保するため、社外取締役を招聘しています。

また、取締役会は、法令及び定款を踏まえ、取締役会が決定すべき経営上の重要事項(会社の基本方針、金額・リスクの観点から重要な事項等)を取締役会規程において定めています。それら重要事項に対し、経営理念やパーパスも踏まえ、多角的かつ専門的な視野から審議、決議しています。それ以外の事項については、代表取締役社長に委任するとともに、各取締役・執行役員の業務遂行の妥当性・効率性を監督しています。

なお、取締役会では、取締役10名中5名を独立社外取締役が占め、かつ原則として執行役員を兼任しない取締役が議長を務めています。また、取締役会の諮問組織として指名委員会、報酬委員会を設置するとともに、経営の「監督機能」と「業務執行機能」をより明確に分離し、執行役員が業務執行に専念できる体制として執行役員制度を採用しています。

監査等委員会

監査等委員である取締役が組織する監査等委員会は、法令、監査等委員会規程等に則り、内部統制システムの構築・運用状況の監視・検証および取締役等の業務執行者に対する監督を行います。また、取締役(監査等委員である者を除く)の選解任および報酬等の監督のため、監査等委員である社外取締役が指名委員会および報酬委員会に陪席し、その内容・手続きを確認しています。

主な活動内容は、代表取締役社長との定期的な意見交換会や業務執行取締役・執行役員・子会社を含む事業部門・内部統制部門等への監査を行うとともに、会計監査人及び内部監査部門からの監査結果の報告、経営会議等の重要な会議への出席、重要な決裁書類の閲覧、並びに子会社の監査役との定期的な情報交換の実施等を通して、必要な情報を収集し、監査の結果を報告しています。

監査等委員会は、原則として毎月開催するほか、必要に応じて随時開催していますが、2024年度は14回開催し、監査等委員の出席率は100%でした。

監査等委員会
コーポレートガバナンスと内部統制

指名委員会

代表取締役社長および経営陣幹部の選解任については、取締役会の諮問機関である指名委員会のおける審議を経て、取締役会が決定します。指名委員会は独立社外取締役が委員の過半数を占め、かつ委員長を務めるなど、独立かつ客観的で実効性のある助言機能を確保しています。

報酬委員会

役員の報酬等の決定手続きの概要

  1. 取締役(監査等委員である者を除く)の個人別の報酬等は、透明性、客観性を確保するため、取締役会の諮問組織であり委員長及び過半数を社外取締役で構成する報酬委員会において審議され、その審議結果は取締役会に提案・報告され、取締役会において決定しています。監査等委員である取締役の個人別報酬額は、監査等委員の協議により決定しています。
  2. 役員の報酬等の額の決定過程としては、2024年6月の報酬委員会において、2023年度の取締役(監査等委員である者を除く)の個人別の業績目標の達成度合いに基づき、2024年度における取締役(監査等委員である者を除く)の個人別の報酬等の額に係る審議を行い、2024年6月の取締役会において、同委員会からの答申を尊重し、取締役(監査等委員である者を除く)の個人別の報酬等の額を決定しました。取締役会及び報酬委員会は、個人ごとの各指標に対する実績と評価が妥当であること、また下記、「役員報酬」の項に記載される「取締役(監査等委員である者を除く)の報酬等の決定方針」に沿って報酬算定が行われたことを確認し、個人別の報酬額が適切であると判断しました。
    なお、2023年度の取締役(監査等委員である者を除く)の個人別の業績目標は、2023年4月の報酬委員会において審議を行い、2023年5月の取締役会において、同委員会からの答申を尊重し、決定しました。

報酬委員会等の活動内容

当事業年度における取締役(監査等委員である者を除く)の報酬等に関する審議及び決定のための委員会等の活動は次のとおりです。

委員会等 開催回数 活動内容
報酬委員会 4回
  • 2024年度役員業績目標設定審議
  • 2023年度役員業績評価並びに2024年度個人別報酬額支給額確定審議
  • 2024年度譲渡制限付株式割当審議
  • 役員報酬制度改定審議
取締役会 3回
  • 2024年度役員業績目標設定審議・決定
  • 2023年度役員業績評価並びに2024年度個人別報酬額支給額確定審議・決定
  • 2024年度譲渡制限付株式割当並びに株式報酬等の額の審議・決定

経営会議

  • 委員長:社長
  • 事務局:経営企画部

経営における「監督機能」と「業務執行機能」を分離し、透明で効率的な企業経営の推進のため、執行側の意思決定に関する会議体の一つとして経営会議を設けています。

経営会議は、グループ経営方針、グループ全体の資源配分に関わる事項や要調整事項、事業戦略等の重要事項、その他UBEグループ全体の経営構造に影響を与える重要事項を審議し、その運営方法・付議事項は「経営会議規程」及び「経営会議付議基準」にて定めています。

経営会議〔サステナビリティ委員会〕

  • 委員長 :社長
  • 副委員長:サステナビリティ推進部担当役員
  • 事務局 :サステナビリティ推進部

「サステナビリティ基本指針」に基づき、グループサステナビリティに関わる重要事項を審議・決定するとともに、高圧ガス保安法で定める「保安対策本部等」として高圧ガス設備等の保安管理に関わる重要事項を審議・決定しています。

本委員会は、サステナビリティの個別課題を検討し、対策を立案する各専門委員会を統括・俯瞰する経営会議です。当社グループのサステナビリティ活動を推進するとともに、取締役会がその活動状況を監督しています。業務執行に関わるサステナビリティ関連のリスク及び機会については、リスク管理委員会と連携して取り組んでいます。

なお各専門委員会は、全社方針に基づき各マテリアリティの解決に向けた諸施策を自ら立案・実施し、サステナビリティ委員会で審議・承認された活動計画に基づき、個別課題の解決を図ります。

各種委員会(サステナビリティに関わる各専門委員会)

地球環境問題対策委員会

  • 委員長:サステナビリティ推進部担当役員
  • 事務局:サステナビリティ推進部地球環境戦略グループ

本委員会において、地球環境問題への当社グループとしての中長期的な戦略および対応方針の立案および検討審議を行い、社長を委員長とした経営会議〔サステナビリティ委員会〕で審議・決定しています。

また、経営会議の議事内容をグループ全体に伝達し、効率的な運営を実現するため、下部組織としてサステナビリティ推進部長を議長とするUBEグループ地球環境問題対策連絡会を設置しています。

グループ環境安全運営委員会

  • 委員長:環境安全部担当役員
  • 事務局:環境安全部

本運営委員会において、環境安全(労働安全、保安防災、環境保全)への当社グループとしての基本方針、中長期的な戦略、計画、および年度ごとの重点実施項目の立案、検討、審議を行い、社長を委員長とした経営会議〔サステナビリティ委員会〕で審議・決定しています。

グループ健康管理推進委員会

  • 委員長:人事部健康推進センター担当役員
  • 事務局:人事部

本委員会において、当社・UBEグループの健康経営および健康推進に関する基本的な方針、中長期的な計画ならびに年度毎の重点実施項目等を協議し、社長を委員長とした経営会議〔サステナビリティ委員会〕で審議・決定しています。

また、経営会議の議事内容をグループ全体に伝達し、効率的な運営を実現するために、下部組織として3連絡会(グループ衛生管理者連絡会、グループ産業医連絡会、グループ産業保健看護職連絡会)を活用し、諸施策を推進しています。

人財・人権委員会

  • 委員長:人事部、法務部、総務部担当役員
  • 事務局:人事部

本委員会において、当社グループ全体での経営戦略と連動した人財戦略の推進および人権の尊重に向けて、(人財・人権に)関連する当社のリスクを特定し、方針および目標を設定する。目標実現に向けた施策の周知、評価を行い、その進捗と結果を社長を委員長とした経営会議〔サステナビリティ委員会〕で審議・決定しています。

グループ品質保証委員会

  • 委員長:社長
  • 事務局:品質保証部

本委員会において、当社及びUBEグループの品質方針、品質目標、品質施策、品質マネジメントレビューおよび経営における重要事項を審議・決定しています。

また、UBEグループの品質マネジメントを推進し、品質に関する報告、審議を効率的に運用するため、以下の委員会および会議体を設置しています。

  • 品質保証委員会(UBE本体のQMS運用管理)
  • UBEグループ品質担当者会議(国内グループ会社との情報共有、コミュニケーション)
  • GFT-QA会議(海外グループ会社との情報共有、コミュニケーション)
  • UBEグループ品質大会(品質意識の向上および品質経営の推進)
  • GFT:Global Functional Team

サプライチェーンマネジメント委員会

  • 委員長 :購買・物流部担当役員
  • 副委員長:購買・物流部長
  • 事務局 :購買・物流部

本委員会において、当社グループ全体での適切なサステナブル調達体制の構築に向けて方針および目標を設定し、施策決定周知、評価を行い、社長を委員長とした経営会議〔サステナビリティ委員会〕で審議・決定しています。

リスク管理委員会

  • 委員長 :社長
  • 副委員長:チーフ・リスク・オフィサー(CRO)
  • 事務局 :サステナビリティ推進部リスク管理グループ

本委員会において、当社グループにおけるリスク管理の状況(特定されたリスクや対策内容)について情報を共有し、これらの妥当性と有効性について審議することで、当社としての重要リスクを特定し、その対応策を協議し、社長を委員長とした経営会議〔サステナビリティ委員会〕で審議・決定しています。

危機対応委員会

  • 委員長:チーフ・リスク・オフィサー(CRO)
  • 事務局:総務部

本委員会において、当社グループを取り巻く社会一般において発生しうる4つの事象(自然災害、感染症、海外有事、不祥事・その他危機)による、当社グループの事業運営に重大な影響を及ぼす危機に関する対応方針や活動計画の立案および検討審議を行い、社長を委員長とした経営会議〔サステナビリティ委員会〕で審議・決定しています。

また、海外駐在員・家族の安全管理や海外拠点の危機対応として、下部委員会に「OCM(Overseas Crisis Management)幹事会」を設置しています。

コンプライアンス推進委員会

  • 委員長 :チーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)
  • 副委員長:コンプライアンス・オフィサー(CO)
  • 事務局 :コンプライアンス推進事務局(法務部)

本委員会は、当社グループのコンプライアンスの確保・推進に関し、対応方針および活動計画の立案や検討審議を行うとともに施策を実行し、社長を委員長とした経営会議〔サステナビリティ委員会〕で審議・決定しています。

情報セキュリティ委員会

  • 委員長:情報セキュリティ統括責任者(情報システム部担当役員)
  • 事務局:情報セキュリティ担当部門(情報システム部)

本委員会は、UBEグループの情報セキュリティを確保するため 、情報セキュリティ統括責任者の補佐及び諮問機関として、情報セキュリティに関わる重要事項等の立案や検討審議を行うとともに施策を実行し、社長を委員長とした経営会議〔サステナビリティ委員会〕で審議・決定しています。

安全保障輸出管理委員会

  • 委員長 :サステナビリティ推進部担当役員
  • 副委員長:品質保証部担当役員
  • 事務局 :サステナビリティ推進部リスク管理グループ(統括管理部門)、品質保証部(審査部門)

本委員会は、軍事転用可能な製品・技術の輸出規制に関する自主管理を適正に行うため、安全保障輸出管理に関わる対応方針の立案および検討審議を行うとともに施策を実行し、社長を委員長とした経営会議〔サステナビリティ委員会〕で審議・決定しています。

ホールディング会議

ホールディング会議は、持株会社として、UBEマシナリーグループの経営上の重要事項を審議するとともに、UBE三菱セメントグループの経営上の重要事項に関する報告を受け、その運営方法・付議事項は、「ホールディング会議規程」および「ホールディング会議付議基準」にて定めています。

取締役の取締役会、監査等委員会、任意の諮問委員会への出席状況

2024年4月1日~2025年3月31日
役職名 氏名 取締役会 指名委員会 報酬委員会
回数 出席率 回数 出席率 回数 出席率
監査等委員でない社内取締役 山本 謙 17/17 100% 2/2 100% 4/4 100%
泉原 雅人 17/17 100%
玉田 英生 4/4 100% 2024年6月26日退任
西田 祐樹 13/13 100% 2024年6月26日就任
石川 博隆 17/17 100%
監査等委員でない社外取締役 福水 健文 17/17 100% 2/2 100% 4/4 100%
満岡 次郎 16/17 94% 1/2 50% 3/4 75%
監査等委員である社内取締役 藤井 正幸 17/17 100%
監査等委員である社外取締役 山本 爲三郎 17/17 100%
鈴木 智子 17/17 100% 2/2 100%
田中 達也 17/17 100% 2/2 100%

取締役会の実効性評価

当社では取締役会の実効性評価を通じ、監査等委員会設置会社の取締役会として、コーポレートガバナンスの実効性を高め、当社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に資するために改善すべき課題・対策を明確化し、経営における監督機能に軸足をおく取締役会としての実効性の更なる改善を図っています。

取締役会の構成は、事業活動に対し適切な意思決定・経営監視を実現するため、取締役(監査等委員である者及び社外取締役を除く)として、豊富な事業経験・業務経験を有する者を選任する一方で、社外取締役には独立社外取締役として独立した客観的な視点と高い見識を有し積極的に意見を述べ提言を行うことができる者を選任しています。また、取締役会は、企業経営・経営戦略、財務・会計、営業・マーケティング、製造・技術・研究開発・IT/DX、コンプライアンス・リスクマネジメント、サステナビリティ(環境・社会)、人財マネジメント、国際性の各領域における豊富な経験や高度な専門的知識を有する取締役により構成されており、ジェンダーの面を含む多様性を確保しています。監査等委員である取締役には適切な経験・能力及び十分な財務・会計・法務に関する知識を有する者を選任しています。

取締役の人数は、定款には取締役(監査等委員である者を除く)は10名以内、監査等委員である取締役は5名以内と規定していますが、現在、独立社外取締役2名を含む6名の取締役(監査等委員である者を除く)と独立社外取締役3名を含む4名の監査等委員である取締役により取締役会を構成しています。これらにより、当社は取締役会及び監査等委員会の実効性を確保できると判断しています。

当社は、取締役会の実効性の評価について、毎年、全取締役で構成する取締役会実効性評価会議を開催し、取締役による取締役会に対する自己評価(アンケートの実施等)を踏まえて議論を行っています。取締役会は、その議論の報告を受けて、取締役会の実効性の評価を実施しています。当社の取締役会の構成と運営は適正であり、活発な議論と適切な審議・監督が行われていることから、経営における監督機能に軸足を置く取締役会としての実効性は確保されているとの評価が得られています。

<2024年度の課題及び取組み実績>

(1)課題:重要な経営戦略の議論の充実

取組み実績:経営に重大な影響を与えた過去の経営戦略・事業戦略から得られる気付き・教訓を取締役会において報告しました。取締役会の半数を占める社外取締役と過去の事例を共有することで、その後の取締役会の議論の深化につなげました。

(2)課題:成長等を実現するための人財

取組み実績:スペシャリティ化学の成長を牽引する人財の確保・育成に向けた人財戦略について、意見交換会や役員経営研究会で報告し、議論を行いました。

<2025年度の課題及び取組み>

実効性評価会議において、重要な事業戦略についてより実質的な議論の深化を図ること、最重要課題の一つである人財戦略等についてはテーマを定めて討論の場を設けることなどの議論があったことを踏まえ、2025年度の課題は、「重要な経営課題の議論の深化」とします。具体的には以下の二つの取組みを実行することを通じて、取締役会の実効性の更なる向上に努めます。

①重要な事業戦略については、執行側に対し戦略案の決定に至る経緯、リスク管理、代替案など経営会議での多様な議論を取締役会で報告させる。

②人財戦略については、取締役会終了後及び役員経営研究会を活用し、以下の4テーマについて取締役会と関係社員等を交えた討議の場を設ける。

  • グローバル人財の確保
  • 研究開発人財の確保・育成
  • スペシャリティ化推進のための人財の確保・育成
  • 事業構造改革に伴う人財再配置
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取締役候補者指名の方針と手続き

当社は、適切な意思決定・経営監視を実現するため、

  1. 取締役(監査等委員である者および社外取締役を除く)として豊富な事業経験・業務経験を有する者
  2. 社外取締役として独立した第三者の視点と高い見識を有し、経営の効率性・透明性・客観性を確保するために積極的な意見を述べ提言を行うことができる者
  3. 監査等委員である取締役には適切な経験・能力および必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者

を選任しています。

一方でその機能を十分発揮していないと認められる場合等に解任を検討することもあります。その選解任・指名手続きは、次の通りです。

  1. 取締役(監査等委員である者を除く)については、取締役会の諮問組織であり、監査等委員である社外取締役が陪席する指名委員会での審議を経て、取締役会での決議の上、株主総会に付議、承認を得る。
  2. 監査等委員である取締役については、同じく指名委員会の審議を経て、監査等委員会の同意および取締役会での決議の上、株主総会に付議、承認を得る。

スキルマトリックス

取締役会は、事業活動に対し適切な意思決定・経営監視を実現するため、取締役(社外取締役を除く)として、豊富な事業経験・業務経験を有する者を選任する一方で、社外取締役には独立社外取締役として独立した客観的な視点と高い見識を有し、積極的に意見を述べ提言を行うことができる者を選任しています。

この多様性の組み合わせを示すものとして、取締役に期待する8分野(企業経営・経営戦略、財務・会計、営業・マーケティング、製造・技術・研究開発・IT/DX、コンプライアンス・リスクマネジメント、サステナビリティ(環境・社会)、人財マネジメント、国際性)における各取締役の知識・経験・能力等を一覧化したスキルマトリックスを作成し、投資家を含むステークホルダーへ株主総会招集通知や統合報告書にて開示しています。

なお、現在、取締役会は、独立社外取締役5名を含む10名の取締役により構成されており、独立社外取締役には他社での経営経験を有する者が含まれています。

役員報酬

取締役の報酬の総額の決定に関する事項

  1. 取締役の現金報酬の総額については、2019年6月27日開催の第113回定時株主総会において、以下のとおり決議しています。なお、当該株主総会終結時点の取締役の員数は9名(うち社外取締役4名)です。
    取締役(監査等委員である者を除く)6名: 年額7億2千万円以内
    (うち社外取締役分2名分は年額8千5百万円以内)
    監査等委員である取締役3名: 年額1億5千万円以内
  2. 取締役の株式報酬の総額については、2022年6月29日開催の第116回定時株主総会において、以下のとおり決議しています。なお、当該株主総会終結時点の取締役(監査等委員である者及び社外取締役を除く)の員数は4名です。
    取締役(監査等委員である者及び社外取締役を除く)4名: 年額7千万円以内
    (譲渡制限付株式の交付のために現金報酬とは別枠で支給する金銭債権の総額)

報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数

(2024年度実績)
区分 人数 固定部分 業績連動部分 報酬等の総額
基本報酬 年次インセンティブ 長期インセンティブ
うち)譲渡制限付株式報酬
取締役(監査等委員である者を除く) 7名 143百万円 57百万円 56百万円 28百万円 257百万円
(うち社外取締役) (2名) (24百万円) (-) (-) (-) (24百万円)
監査等委員である取締役 4名 81百万円 81百万円
(うち社外取締役) (3名) (43百万円) (-) (-) (-) (43百万円)
合計 11名 224百万円 57百万円 56百万円 28百万円 338百万円
(うち社外取締役) (5名) (67百万円) (-) (-) (-) (67百万円)
    1. 使用人兼務取締役はいません。
    2. 監査等委員である取締役は、基本報酬のみの固定額としています。
    3. 株式報酬(譲渡制限付株式報酬)は、会計基準に従い、当事業年度において費用計上した金額です。
      従って、金銭の支給が保証された報酬ではありません。

役員の報酬等の額又はその算定方法に関する方針に係る事項

取締役(監査等委員である者を除く)の報酬等の決定方針

当社は、「取締役(監査等委員である者を除く)の報酬等の決定方針」として次の(1)~(7)を取締役会において決議しています。

(1)基本方針

当社の取締役(監査等委員である者を除く。以下、「取締役」という)の報酬は、企業価値及び株主価値 の持続的向上を図るインセンティブとして十分に機能する報酬体系とし、取締役の個人別の報酬等の決定に際しては、株主総会決議による取締役の報酬限度額内で、各職責を踏まえた適切な水準とすることを基本方針とする。

取締役のうち社内取締役(以下、「社内取締役」という)の報酬については、業績との連動性を強化し、単年度の業績のみならず、中長期的な目標達成を報酬に反映する。また現金報酬のほか株式報酬を設け、中長期的な企業価値及び株主価値 向上を意識づける報酬構成とする。

具体的には、社内取締役の報酬は、基本報酬として役位別定額報酬、業績連動報酬として年次インセンティブ及び長期インセンティブにより構成し、年次インセンティブは全社業績連動報酬及び年次個人業績目標達成評価報酬、長期インセンティブは中長期個人業績目標達成評価報酬及び譲渡制限付株式報酬により構成する。

また取締役のうち社外取締役(以下、「社外取締役」という)の報酬については、基本報酬のみの固定額を支払うこととする。

取締役区分 固定/業績連動 報酬構成 項目名称 支給形態
社内取締役 固定 基本報酬 役位別定額報酬 現金報酬
業績連動 年次インセンティブ 全社業績連動報酬
年次個人業績目標達成評価報酬
長期インセンティブ 中長期個人業績目標達成評価報酬
譲渡制限付株式報酬 株式報酬
(非現金報酬)
社外取締役 固定 基本報酬 名称なし(基本報酬のみの固定額) 現金報酬
(2)基本報酬の報酬額の決定に関する方針

社内取締役の基本報酬については、役位に応じて年額を決定する。

社外取締役の基本報酬については、固定額を年額として決定する。

(3)業績連動報酬(譲渡制限付株式報酬を除く)の内容及び額の算定方法の決定に関する方針

社内取締役の業績連動報酬のうち、全社業績連動報酬については、当社グループ全体の事業年度ごとの業績向上の意識を高めるため、持分法適用会社の業績を反映できる連結経常利益を指標とし、前事業年度における連結経常利益に役位別係数を乗じた算出式によって算定し決定される。

また年次及び中長期個人業績目標達成評価報酬については、役位別に予め定められた評価テーブルに基づき、前事業年度初めに各役員が設定した年次目標及び中長期目標に対する達成度合いに応じて報酬額が決定される。尚、全社業績連動報酬と年次個人業績目標評価報酬については、取締役が本社部門と事業部門のいずれを担当するかによって、異なる算出式・評価テーブルを適用する。

項目名称 区分 算出方法
全社業績連動報酬 会社業績 前事業年度連結経常利益×役位別係数
年次個人業績目標達成評価報酬 個人業績 各役員別の年次目標の達成度合い
中長期個人業績目標達成評価報酬 個人業績 各役員別の3-5年の中長期目標の達成度合い
(4)非金銭報酬の内容及び額の算定方法の決定に関する方針

社内取締役に対する非金銭報酬は譲渡制限付株式報酬とし、社内取締役の中長期的な目標達成及び株主価値向上のインセンティブを高めることを目的に、譲渡制限付株式報酬を役位に応じて割当交付する。また、当社が定める中期経営計画の対象期間の翌期に限り、対象期間中の経営指標(連結経常利益、連結フリーキャッシュフロー、連結ROEなど)の達成度に応じて80%~130%まで付与株式数を調整する。

項目名称 区分 算出方法
譲渡制限付株式報酬 会社業績 通常年=A、調整年=B
A.役位別基礎金額÷前事業年度平均株価+前事業年度からの繰越株式数
B.役位別基礎金額÷前事業年度平均株価×(100%+付与率▲20%~30%)
+前事業年度からの繰越株式数
  • 経営指標の達成度に応じて80%~130%の範囲で調整
(5)社内取締役の種類別の報酬等の額に対する割合の決定に関する方針

社内取締役の種類別の報酬の構成割合については、基本報酬の水準と安定性を基本としつつ、中長期的な株主価値の向上を重視し、基本報酬と業績連動報酬(譲渡制限付株式報酬を含む)とのバランスを考慮し適切に設定する。また、社長、会長については他の取締役と比べて、基本報酬比率を低く、業績連動報酬の比率を高く設定する。

具体的には、基本報酬、年次インセンティブ、長期インセンティブ(譲渡制限付株式報酬を含む)の支給割合は、過去の平均連結経常利益額並びに 年次及び中長期個人業績目標達成評価の中間値を基準として、概ね基本報酬50%、年次インセンティブ30%、長期インセンティブ20%となるように設計する。

図
(6)報酬等を与える時期又は条件の決定に関する方針

取締役の個人別の報酬(社内取締役に対する譲渡制限付株式報酬を除く)は、7月から翌年6月までの1年間の任期について支給する。またその総額を12で除した額を毎月支払うものとする。

社内取締役に対する譲渡制限付株式については、各事業年度に係る定時株主総会の日から1年以内の日に割当交付する。

(7)取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する事項

取締役の個人別の報酬等は、透明性、客観性を確保するため、取締役会の諮問組織であり委員長及び過半数を社外取締役で構成する報酬委員会にて審議され、その審議結果は取締役会に提案・報告され、取締役会にて決定される。

取締役の報酬水準については、常に外部調査機関による役員報酬調査データを参照し、当社と規模や業種の類似する大手製造業の水準と比較し、客観的妥当性を確認しながら、総合的に勘案して決定する。

業績連動報酬(譲渡制限付株式報酬を除く)に係る指標の目標及び実績

業績連動報酬は、1.全社業績連動報酬、2.年次個人業績目標達成評価報酬、3.中長期個人業績目標達成評価報酬で構成されます。1.全社業績連動報酬に係る指標として、前事業年度における連結経常利益を使用しており、指標に役位別係数を乗じた算出式(前事業年度連結経常利益×役位別係数)によって報酬額が算定されます。2.年次個人業績目標達成評価報酬に係る指標として、前事業年度の期首に各取締役が設定した年次目標を使用しています。さらに3.中長期個人業績目標達成評価報酬に係る指標として、前事業年度の期首に各取締役が設定した中長期目標を使用しています。2.年次個人業績目標達成評価報酬、3.中長期個人業績目標達成評価報酬については、それぞれの指標の達成度合いに応じて報酬額が決定されます。

なお、事業部門を担当する取締役の報酬額算定及び決定については、2026年度報酬から全社業績連動報酬と年次個人業績目標達成評価報酬の構成割合を見直し、担当する取締役のモチベーションを高め、企業全体の業績を向上させることを目的に年次個人業績目標達成評価報酬の割合を大きくする報酬体系とします。中長期的な業績と連動する中長期個人業績目標達成評価報酬の割合はこれまでと同様であり、持続的な成長に向けた健全なインセンティブとして機能しています。

指標の目標及び実績は以下のとおりです。

項目名称 指標 目標(2023年度) 実績(2023年度)
全社業績連動報酬 連結経常利益 385億円 363億円
年次個人業績目標達成評価報酬 年次目標 個人ごと 個人ごと
中長期個人業績目標達成評価報酬 中長期目標 個人ごと 個人ごと

ESG目標

当社が持続可能な経営を目指すために最も重要な課題(マテリアリティ)として特定 した「スペシャリティ事業の拡大」と「地球環境問題への対応」等は、ESG関連への継続的な取組みが求められます。各取締役の担当職務に応じたESG関連の取組みへの目標を中長期個人業績目標に取入れ、目標設定・業績評価・報酬算定を行い、目標達成のためのインセンティブ強化を図っています。ESG目標として目標設定している取組み内容は、取締役ごとに異なります。ESG目標の達成度合いに応じて算定される報酬額は、制度設計上、報酬等の総額の約10%を占めています。

[2025年度ESG目標]
2025年度ESG目標

政策保有株式の状況

基本的な考え方

当社は、業務提携や取引関係を維持・強化し当社の事業活動の円滑な推進のため必要と認める場合には、上場株式または非上場株式を政策保有することがあります。

政策保有株式のうち上場株式については、毎年、取締役会において、当社の資本コストを勘案した上で個別銘柄の検証を行い、保有の適否を総合的に判断しています。保有の意義が十分ではないと考えられる政策保有株式は、株式市場の動向等を考慮した上で速やかに売却します。

また、当社は、政策保有株式の議決権の行使に際しては、投資先企業の株主価値の向上を通じて当社へのリターンとなるかを基準として総合判断の上、議案への賛否を決定します。

保有状況

2025年3月末時点で当社が保有する政策保有株式は65銘柄、9,816百万円(上場株13銘柄 9,189百万円、非上場株52銘柄627百万円)、連結純資産に占める割合は約2.4%となります。 保有状況の推移は以下図表の通りです。

  • 政策保有株の銘柄数および貸借対照表計上額
    政策保有株の銘柄数および貸借対照表計上額
  • 政策保有上場株式の銘柄数および貸借対照表計上額
    政策保有上場株式の銘柄数および貸借対照表計上額