UBE/UBE株式会社

取締役 常務執行役員 CHRO CCO、
人事部・人財戦略部・総務部・
法務部・知的財産部担当
川村了
※肩書・担当は掲載当時のものです
#03

パーパス
「希望ある化学で、
難題を打ち破る。」を起点に、
未解決な
"企業カルチャーの変革"
に挑もう。

パーパスを起点に、経営陣がいま最も重視するテーマを語るシリーズ。
第3回は、川村了常務執行役員が掲げるスローガン
「未解決な"企業カルチャーの変革"に挑もう。」です。
その原点は、法務部時代に幾度も実践した「ドアノック」。
受け身だった組織を変えたいという思いは30年以上を経た今、CHROとして自らが推進する人財戦略や新人事制度へと発展しました。
社員一人ひとりが自ら扉を開き、挑戦できる組織を目指す。その想いについて掘り下げます。
取締役 常務執行役員
CHRO CCO、
人事部・人財戦略部・総務部・法務部・知的財産部担当
川村了
法務部門を中心にキャリアを重ね、米国ロースクールへの留学も経験。法務部長を経て執行役員に就任し、CRO、CCOを歴任。2026年4月より現職。CHRO、CCOとして、人事部、人財戦略部、総務部、法務部、知的財産部を統括する。

米国企業との交渉で実感した、難題に挑む覚悟

Q.これまでの経験の中で、パーパス
「希望ある化学で、難題を打ち破る。」を実感されたエピソードを教えてください。

川村:
真っ先に思い浮かぶのは、法務部時代(約15年前)に担当した米国企業との合弁プロジェクトです。契約交渉の最終局面でニューヨークへ出張し、朝から深夜まで交渉を続けていました。相手は世界有数の巨大企業で、企業内弁護士だけでも100人以上擁していました。一方の私たちは少人数のチーム。交渉経験にも圧倒的な差がありました。

交渉成立が目前となった段階で、相手が条件の見直しを求めてきたとき、一緒に出張していた事業部長から「もう帰ろう、交渉決裂だ」というあきらめの声もありました。しかし、私には「自分たちを信頼して交渉を任せてくれたのだから、その期待に応えたい」という強い思いがあったのです。

私たちの武器は技術力と特許でした。会社の規模ではかなわなくても、そこだけは絶対に譲れない。途中、日本語で怒鳴るようなこともしながら、最後は粘り勝ち。当社の権利を守る形で交渉をまとめることができました。(交渉で怒鳴るようなことをしたのは、本件が最初で最後です。)

不都合な現実があっても、失敗を恐れず挑戦し続けること。そして、簡単にあきらめないこと。その大切さを実感した経験です。

受け身から自発へ。目指すのは挑戦する組織

Q.スローガン「未解決な"企業カルチャーの変革"に挑もう。」に込めた想いは?

川村:
現在、UBEはスペシャリティ化学企業への転換という事業構造改革の真っ只中にいます。しかし、事業構造だけを変えても、そこに従事する人財が変わらなければ、本当の意味での変革は実現できないと思っています。

私が目指したいのは、自ら顧客や市場、現場に足を運び、課題を発見し、それを価値へ転換できる人財です。言われるのを待つのではなく、自分から動き、新しい可能性を切り拓いていく。そのような人が増えれば、会社全体のカルチャーも自然と変わっていくはずです。

ただ、そうした変化は一朝一夕には実現できません。だからこそ、会社として、社員一人ひとりが挑戦できる道しるべを用意する必要があります。その一つとして、2026年4月より各社員の自主性をより重んじる新しい人事制度を導入しました。

この新人事制度では、変革をけん引していく人財を発掘・育成し、適切なポストに配置するまでを一体的に進めます。尖った才能を伸ばし、挑戦の機会を増やし、自律的な成長を支援する。その積み重ねが企業カルチャーの変革につながると考えています。

70人の対話から見えた、人財戦略の出発点

Q.このスローガン達成に向けて、どのような取り組みを進めていますか?

川村:
昨年度、私は約70人の社員と1on1ミーティングを行いました。背景にあったのは、海外企業の一部事業買収などによりUBEグループのグローバル化が急激に加速する中で、グローバルに活躍する人財が足りないのでは? という危機意識です。

もともとグローバル人財を育成するための制度やプログラムはありました。しかし、これからのUBEに必要な人財像を考えたとき、「海外で活躍したい」社員の生の声を聞きたいと思ったのです。

これは、私なりの「ドアノック」でした。

実際に話を聞くと、多くの社員が高い能力や可能性を持っていることを改めて実感しました。一方で、入社当時は海外志向だった人でも、数年経つと将来のキャリアを描けなくなっているケースも少なくありませんでした。今の職場環境のままでは、その可能性を十分に生かせないと感じたのです。

こうした対話も踏まえて設計したのが、先にあげた新人事制度です。会社が一方的に仕事を割り当てるのではなく、「自分は何をやりたいのか」を起点にキャリアを描けるしくみを目指しました。

実現したいのは、社員一人ひとりが自分のキャリアを自分で切り拓く「キャリアオーナーシップ」です。仕事を通じて自己実現し、その結果としてUBEや社会への貢献につながる。そうした環境づくりこそが、今回の新人事制度の根幹にある考え方です。

法務部で始めた「御用聞き(ドアノック)の実践」を、今度はコーポレート部門全体へ

Q.このスローガンをご自身の統括部署へはどう生かしていきますか?

川村:
私が入社した当時の法務部は、守備的な側面が強く、社内から相談が届けば対応するという受け身の組織でした。しかし、その守備的な姿勢から横柄だと誤解されることも多く、当時の私は「法務の先輩たちは本当に優秀で会社に貢献しているのに、その価値が社内の他の部署に十分に伝わっていない」と、強いもどかしさを感じていました。

そこで入社2、3年目から始めたのが、事業部や研究開発部門などへの御用聞き、つまりドアノックです。「契約に関して何か困っていることはありませんか?」「何でもやりますよ」そう言って回り続けました。

最初は相手も戸惑っていましたが、スピード感を持って正確にフィードバックを繰り返すうちに少しずつ相談が増え、やがて契約交渉などの重要な局面にも同行するようになりました。

まさに"守りの法務"から"攻めの法務"への転換です。

今、振り返れば、それもカルチャー変革と言えるかもしれません。ドアノックというと営業をイメージしがちですが、私はコーポレート部門こそ、自部署以外をお客様と捉え、自ら足を運ぶ姿勢が大切だと思っています。

Onto the next challenge.

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